HIITトレーニングは筋肉が落ちる?HIITの効果やメリットについて

短時間で脂肪燃焼が期待できるHIITトレーニング。しかし「強度が高いぶん筋肉が落ちるのでは?」と不安に感じる人は少なくありません。

食事制限中でも筋量を守りたいトレーニーに向けて、この記事ではHIITで筋肉が減ると言われる理由と、そのリスクを抑えつつ脂肪だけを落とす実践法を詳しく解説します。

効果的なインターバル設定や栄養戦略、筋トレとの組み合わせ方まで網羅するので、時間がない社会人や停滞期に悩む中級者でも安心して取り入れられます。

HIITで筋肉が落ちると言われる理由

短時間で強い負荷をかけるHIITは脂肪燃焼を加速できる反面、栄養補給や休息が不足すると筋たんぱく質の分解が進みやすくなります。

特に糖質制限中や過度なカロリー赤字で行う場合、体はエネルギー源を補うために筋たんぱく質を分解しやすくなる点に注意が必要です。

エネルギー不足によるカタボリック

HIITは全力レベルの運動と短休息を繰り返すため、体内の筋グリコーゲンが急速に消費されます。エネルギー源が枯渇した状態で運動を続けると、肝臓と筋肉からアミノ酸を取り出して糖を合成する糖新生が活発になり、筋たんぱく質の分解が進行します。

糖質を控え過ぎた食事や絶食明けにHIITを行うと、筋分解ホルモンであるコルチゾールが高まりやすく、筋肉損失が加速するため要注意です。

筋グリコーゲン枯渇と筋分解の関係

筋グリコーゲンは全力に近い運動で最も利用されるエネルギー源です。貯蔵量が少ない状態でHIITを実施すると、わずか数セットでATP再合成が追いつかなくなります。すると体は生き残りのために筋たんぱく質を分解し、取り出したアラニンやグルタミンを肝臓へ送り糖を作ります。

結果として筋肉は自らを犠牲にする形となり、サイズダウンやパフォーマンス低下が起こるのです。

長時間有酸素との違い

ジョギングなど低強度を長時間行う場合とHIITでは筋肉へのストレスが異なります。低強度有酸素は脂質酸化が主軸で糖質消費はゆるやかですが、HIITは瞬発的に高いパワーを出すぶん糖質依存度が高く、消耗スピードが桁違いです。

この糖質の急減と高負荷刺激が重なることで筋分解が起こりやすくなり、栄養と回復を無視すると筋量減少リスクが高まります。

HIITの短時間高負荷が及ぼす影響

全力疾走やバーピーを織り交ぜたHIITでは、1回の収縮で大きな力を発揮する速筋線維が主に動員されます。速筋線維はグリコーゲンに頼るため、反復スプリントで貯蔵が枯渇しやすいです。加えて乳酸濃度の急上昇が細胞内pHを下げ、たんぱく質合成酵素の働きを阻害します。この二重のストレスが続くと合成より分解が上回り、筋量が保てなくなるためセット間の十分な回復が不可欠です。

筋肉を守るHIITの正しいやり方

筋量を温存しながら脂肪を削るには、刺激の強さ・本数・休息を計画的に設定することが欠かせません。

ここでは最適なインターバルや頻度、フォームの注意点を紹介し、レベル別の調整方法も示します。

インターバルと強度の目安

HIITの基本は「全力20秒+休息10秒」を8セット行うタバタ式ですが、全員に同じ設定が最適とは限りません。筋肉を守る観点からは、最大心拍数の85%前後で動き、休息で60%付近まで戻すサイクルが望ましいです。たとえばスプリントなら15秒疾走+45秒歩行を10本、バーベルを使う場合は6〜8レップを3種目サーキットで回す形が好相性です。

作業量と心拍数の設定例

週2回実施する中級者なら、20分プログラムでもエネルギー消費量は約250kcalに達します。例として「エアロバイク全力30秒/心拍180bpm」→「クールペダル60秒/心拍140bpm」を15本行うと、平均心拍158bpmで約180kcalを消費できます。追い込み過ぎず、合計作業量を筋トレ日に影響しない範囲に収めることがポイントです。

適切な頻度と休息

筋肥大期にHIITを追加するなら週2〜3回が上限です。これ以上増やすと回復資源が分散し、筋原線維の超回復が不完全のまま次の刺激を受ける恐れがあります。開始当初は1日置きにHIIT→休養→筋トレという流れを組むと、筋肉痛が長引かず神経疲労も抑えられます。

週2〜3回が目安の理由

高強度の心拍刺激は自律神経に強い負荷を与え、交感神経が優位な状態が続くと睡眠の質が下がり成長ホルモンが低下します。週2〜3回までなら24〜48時間で副交感神経が回復しやすく、筋合成に必要なホルモン環境を守れます。米国運動協議会の指針でもHIITと筋トレを同時期に行う際は週3セッション以内が推奨されています。

筋肉維持のための栄養戦略

エネルギー赤字下でも筋たんぱく質の合成を促すには、運動前後の栄養摂取と総カロリー管理が不可欠です。

ここではタンパク質と糖質のバランス、サプリ活用のコツを示し、忙しくても再現しやすい食事例を紹介します。

運動前後のタンパク質補給

血中アミノ酸濃度を運動直後に高めることが重要です。目安は体重1kgあたり0.3gのタンパク質を運動前30分以内に摂り、同量を運動後1時間以内に再補給する方法です。体重60kgならホエイプロテイン25gをとり、終わったら鶏むね肉サンドとフルーツで30gを加えると十分カバーできます。

BCAAとEAAの使い方

BCAAは筋肉の分解抑制に、必須アミノ酸(EAA)は合成促進に役立ちます。HIIT前にBCAA5gを水に溶かして飲むことで、運動中の急激なアミノ酸流出を抑えられます。一方EAAは運動後のプロテインに混ぜるとアミノ酸プロフィールが整い、筋たんぱく合成に必要な材料が揃います。ただし1日合計15g以内に抑え、あくまで食事を基本に考えることが大切です。

十分な総カロリーを確保

筋肉を維持したまま脂肪を落とすには、消費カロリーより15%程度少ないマイルドな赤字が安全圏です。これ以上削るとホルモンバランスが崩れ、筋合成作用のあるテストステロンが低下しやすくなります。日常活動量が多い人は、減量期でも体重1kgあたり4gの糖質を目標にすると筋グリコーゲンが満タンに近い状態でHIITに臨めます。

脂質を抑えた増量食例

筋肥大を続けながら体脂肪を増やさないリーンバルク期には、脂質を抑えた高タンパク高糖質食が有効です。例として、朝食に玄米ごはん200gと卵白オムレツ、昼食に鶏むね肉150gと芋200g、間食に低脂肪ヨーグルトとバナナ、夕食に白身魚200gと雑穀米200gを組むと、1日の摂取カロリーは約2600kcal、タンパク質180g、脂質45g、糖質320gとなります。

HIITと筋トレを組み合わせる方法

HIIT単独よりも筋トレと組み合わせることで、脂肪燃焼と筋力向上を両立できます。干渉効果を避ける順序や曜日配置、回復ルーティンを提案し、レベル別の実践例で迷わずスケジュールが組めるようサポートします。

週スケジュールの具体例

筋トレを週4回行う中・上級者なら「月火筋トレ」「水HIIT」「木金筋トレ」「土HIIT」「日休養」という組み方が効率的です。筋トレから24時間空けてHIITを行うことで、筋繊維の修復を完了させてから心肺を追い込めます。初心者は「筋トレ→HIIT」の同日実施を避け、まずは筋トレ日を2日、HIIT日を1日に分けると回復の感触をつかみやすいです。

筋トレ前後にHIITは避ける

筋トレ直後のHIITは筋グリコーゲンを根こそぎ消費し、回復に必要なエネルギーが不足するため筋肥大効率が下がります。逆にHIIT直後にウェイトを担ぐとフォームが不安定になりけがのリスクが高まります。同日に行う場合でも午前に筋トレ、夕方にHIITと5時間以上空けることが望ましいです。

回復を高めるストレッチ

HIIT後は筋温が高い状態で柔軟性が向上しているため、静的ストレッチで筋膜をゆっくり伸ばすと血流が促進されます。特に腸腰筋やハムストリングスの緊張を解くと骨盤が安定し、次回のスクワットで力を出しやすくなります。フォームローラーを30秒ずつ当てるだけでも乳酸除去が速くなると報告されています。

睡眠と自律神経の整え方

入眠時に深部体温を下げると成長ホルモン分泌が高まり、筋修復がスムーズになります。ぬるめの入浴で副交感神経を優位にし、就寝1時間前にスマホのブルーライトを避けると入眠潜時が短縮されます。質の高い睡眠は翌日のインターバルトレーニングのパフォーマンス維持にも直結します。

HIITのメリットと注意点

筋量を落とさずに脂肪を燃やすだけでなく、心肺機能やインスリン感受性向上など多面的な利点があるHIIT。しかし安全性を高めるには守るべき留意点も存在します。効果とリスクを整理し、正しい判断材料を提供します。

脂肪燃焼と代謝アップ

HIIT後は過剰酸素消費量(EPOC)が高まり、安静時でもエネルギー消費が続くため24時間で10%前後の代謝上昇が確認されています。高強度ゆえに下肢の大筋群を総動員することで、成長ホルモンやアドレナリンが増え脂肪細胞から遊離脂肪酸が放出されやすくなります。

EPOC効果で代謝が続く

EPOCは運動終了後に体温やホルモン値を平常に戻す過程で酸素摂取量が増え続ける現象です。HIITではVO2maxの80%を超える負荷を断続的にかけるため、同じカロリーをジョギングで消費する場合と比べ、運動後の酸素消費が2倍以上長く続く例があります。この追加消費が1回あたり60〜100kcal相当になることで、週2回でも月に約800kcalの上乗せが見込めます。

筋肉損失リスクの防止策

筋量維持には強度設定だけでなく、実施時間、フォーム、環境も大切です。連続ジャンプ系のHIITは着地衝撃で関節炎を招きやすいため、初心者はバイクやロウイングを使うと安全です。心拍計を装着し目標レンジ内に収めることで過度な酸化ストレスを防ぎ、筋分解を抑えられます。

フォーム低下時の中止基準

パフォーマンスが20%以上落ちたら脂肪燃焼効率より筋肉保護を優先してセッションを終えるべきです。スプリントタイムが初回より0.5秒遅れる、ジャンプの高さが5cm下がる、心拍が目標域に届かないまま疲労感だけが増すといった兆候が合図になります。

まとめ

HIITは短時間で脂肪を燃やし代謝を高める優秀な手段ですが、糖質枯渇と回復不足が重なると筋肉が落ちる危険があります。

筋量を守るには①高強度と休息のバランス②週2〜3回の頻度管理③運動前後の十分なタンパク質と糖質補給④筋トレとの適切な分割⑤疲労サインで打ち切る判断の5点が不可欠です。

これらを守ればHIITは筋量維持と脂肪減少を同時にかなえる強力なツールになります。自分のレベルに合わせて設定を調整し、記録を取りながら継続すれば、体脂肪が減ってもパワーと筋量を保った引き締まった身体が手に入ります。

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