
「筋トレやランニングをしているのに、思うように体が変わらない」「効率よく動ける体を手に入れたい」と感じていませんか。そんな人に注目されているのが、体の機能そのものを高めるファンクショナルトレーニングと、短時間で脂肪燃焼を狙えるHIIT(ヒット)トレーニングです。
どちらも見た目の筋肉だけでなく、日常動作やスポーツパフォーマンスの向上につながる点が特徴です。この記事では、ファンクショナルトレーニングとHIITの基本的な特徴や効果、違い、そして効果的な組み合わせ方をわかりやすく解説します。
自分に合ったトレーニング法を見つけたい人、効率よく体を変えたい人は、ぜひ参考にしてください。
ファンクショナルトレーニングとは?目的と特徴を解説

体を単に「鍛える」だけでなく、「正しく使えるように整える」ことを目的とするのがファンクショナルトレーニングです。筋肉を個別に強化する従来の筋トレとは異なり、関節や筋肉を連動させることで、生活やスポーツの動作をよりスムーズに行えるようになるのが特徴です。
姿勢や体幹を安定させることで、ケガを防ぎ、パフォーマンスの向上にもつながります。
体の「動き」を鍛えるトレーニングとは
ファンクショナルトレーニングの基本は、体をひとつの「動作の連鎖」としてとらえることにあります。筋肉を単体で動かすのではなく、複数の関節と筋肉を連携させ、全身の動きを調和させる点が大きな特徴です。
歩く・しゃがむ・持ち上げるといった日常の動作を模したトレーニングを行うことで、動作の安定性が増し、バランスの取れた体づくりにつながります。これにより、日常生活でも疲れにくく、スムーズに体を動かせるようになります。
また、体幹を中心に支える筋群を鍛えるため、姿勢の改善にも効果的です。正しいフォームを意識して行えば、腰痛や肩こりの予防にもつながり、年齢を問わず安全に取り組めるトレーニングといえます。見た目の筋肉を追求するよりも、「動ける体」を目指す人にとって理想的な方法です。
従来の筋トレとの違い
一般的な筋力トレーニングは、重りを使って特定の筋肉を集中的に鍛えるのが目的です。一方で、ファンクショナルトレーニングは、筋肉の連携と神経の働きを重視し、体全体を効率よく動かす能力を高めます。
例えば、スクワットを行う際には脚の筋肉だけでなく、背中・腹部・足首の可動域を意識して全身を連動させます。これにより、力をよりスムーズに伝えられるようになり、スポーツ動作や日常動作のパフォーマンス向上につながります。
また、体幹を安定させながら動くことを重視するため、見た目の筋肥大よりも「姿勢」「動作の質」を重視する点が大きな違いです。運動神経の反応速度を高める効果もあり、スポーツ選手のトレーニングにも幅広く活用されています。
ファンクショナルトレーニングの主な効果
ファンクショナルトレーニングを継続すると、体幹の安定性・柔軟性・可動域の向上など、体の基礎能力を幅広く高められます。体のバランスが整うことで、正しい姿勢を保ちやすくなり、ケガをしにくい体づくりが可能になります。
また、筋肉を全身で連動させるため、代謝が上がりやすく、脂肪が燃えやすい体質へと変化していきます。筋肉の使い方を覚えることで、スポーツだけでなく、階段の上り下りや荷物の持ち上げなど、日常生活でも動きが軽く感じられるようになります。
さらに、神経と筋肉の協調性が高まることで、反射的な動作がスムーズになり、パフォーマンスの質が向上します。機能的に動ける体を手に入れることが、結果的に見た目の引き締めにもつながります。
どんな人におすすめか
ファンクショナルトレーニングは、年齢や性別を問わず幅広い層におすすめできます。特に、姿勢の乱れが気になる人や、デスクワーク中心で体が硬くなりがちな人には効果的です。柔軟性と体幹の安定を高めることで、慢性的な肩こりや腰痛の改善も期待できます。
また、スポーツをしている人にとっては、競技動作の質を高める基礎づくりとして最適です。筋力をつけながらも、動作全体のスムーズさを保てるため、パフォーマンスの底上げに役立ちます。
さらに、運動初心者にとっても取り組みやすい点が魅力です。自重中心で行えるため負担が少なく、正しい姿勢を意識するだけでも十分な効果を得られます。体を動かす心地よさを感じながら、自然と継続できるトレーニング方法といえるでしょう。
HIIT(ヒット)トレーニングとは?特徴とメリット

HIIT(High Intensity Interval Training)は、高強度の運動と短い休息を交互に繰り返すトレーニング方法です。短時間で心拍数を一気に上げるため、脂肪燃焼や心肺機能の向上が期待できます。
近年では「忙しくても効率よく鍛えられる」として、ダイエット目的の人や運動時間を確保しにくい人からも注目されています。
HIITの基本的な仕組みと特徴
HIIT(High Intensity Interval Training)は、高強度の運動と短い休息を繰り返すことで、短時間でも高いトレーニング効果を得られる方法です。一般的には「20秒の全力運動+10秒の休憩」を1セットとし、これを複数回行います。動作にはバーピー、ジャンプスクワット、マウンテンクライマーなど、全身を使う自重運動が多く取り入れられます。
短時間で心拍数を急激に上げるため、有酸素運動と無酸素運動の両方の効果を得られるのが特徴です。運動後も脂肪燃焼が続く「アフターバーン効果」が得られ、トレーニング後の数時間は基礎代謝が高い状態を維持できます。
また、時間効率が良く、1回10〜15分程度でも十分な負荷をかけられるため、忙しい人や運動が苦手な人にも取り入れやすいトレーニング方法といえます。
HIITの代表的なメニュー例
HIITは特別な器具を使わなくても実践できるのが魅力です。
以下のような組み合わせが一般的に行われています。
- バーピー:20秒 → 休憩10秒
- ジャンプスクワット:20秒 → 休憩10秒
- マウンテンクライマー:20秒 → 休憩10秒
- プランクジャック:20秒 → 休憩10秒
この4種目を1サイクルとして3〜4セット行うのが目安です。全身の大きな筋肉を使う動作が中心のため、トレーニング時間が短くても心拍数は急上昇します。
慣れてきたら、ダンベルやステップ台を使って負荷を上げることも可能です。運動強度を調整しながら取り組むことで、初心者から上級者までレベルに応じたトレーニングができます。自宅でも行えるため、継続しやすい点も魅力です。
短時間で高い脂肪燃焼効果を得られる理由
HIITでは、運動中に酸素が不足する「無酸素状態」と、酸素を使ってエネルギーを生み出す「有酸素状態」を交互に繰り返します。これにより、運動中だけでなく終了後もエネルギー消費が続く「EPOC(運動後過剰酸素消費)」が発生します。この現象が、脂肪燃焼を長時間持続させる理由です。
さらに、HIITは心拍数を高く維持するため、心肺機能が大きく向上します。筋肉への酸素供給量が増えることで、体全体の持久力も上がります。
一般的な有酸素運動よりも時間が短く、効率的に脂肪を燃やせるため、ダイエット目的の人だけでなく、競技力向上を目指す人にも有効です。
HIITが向いている人と注意点
HIITは短時間で高い効果を得られますが、その分、体への負荷も大きくなります。心拍数が急上昇するため、体力に自信のない人や運動初心者は、いきなり全力で行わず、強度を下げて始めることが大切です。
ウォームアップを行ってからトレーニングを始めることで、心臓や関節への負担を軽減できます。慣れてきたらセット数を少しずつ増やし、フォームを意識して動くことを心がけましょう。
また、十分な休息を取ることも忘れてはいけません。疲労がたまるとフォームが乱れ、ケガにつながる恐れがあります。体調に合わせて調整すれば、HIITを安全かつ効果的に継続できます。
ファンクショナルトレーニングとHIITの違いと相性

どちらも全身を使って体を鍛える点では共通していますが、トレーニングの目的や得られる効果には明確な違いがあります。ファンクショナルトレーニングは「体の動きを整える」ことを重視し、HIITは「代謝や持久力を高める」ことを目的としています。
2つの特性を理解して組み合わせることで、筋力・持久力・安定性をバランスよく育てられます。ここからは、両者の違いと相性の良さについて詳しく見ていきましょう。
目的と効果の違い
ファンクショナルトレーニングは、体の機能そのものを改善することを目指しています。筋肉を連動させて使うことで、姿勢や動作が安定し、正しい体の使い方を身につけられます。一方でHIITは、短時間で心拍数を上げて脂肪燃焼や代謝の活性化を狙うトレーニングです。高強度の動作を繰り返すことで、エネルギー消費が増え、持久力と心肺機能を短期間で向上させられます。
つまり、ファンクショナルトレーニングが「体の動きを整える基礎づくり」に向くのに対し、HIITは「代謝を上げて成果を早める強化ステップ」としての役割を持っています。目的を明確にすることで、より効率的に体を変えていくことができます。
組み合わせることで得られるメリット
ファンクショナルトレーニングとHIITを組み合わせることで、動作の質とエネルギー効率の両方を高められます。ファンクショナルトレーニングで体の安定性や柔軟性を整えてからHIITを行うと、フォームが安定しやすく、ケガのリスクを大幅に減らせます。
さらに、基礎的な動作パターンを身につけた状態でHIITを行うことで、トレーニング中の筋肉の連動性が高まり、消費エネルギーも効率的になります。体幹を意識しながら動けるようになると、より少ない時間で成果を感じられるようになるでしょう。
2つを順序立てて行うことで、代謝を高めながら動作の質も磨かれ、総合的なパフォーマンス向上が期待できます。
初心者が取り入れる際の注意点
初心者は、まずファンクショナルトレーニングから始めるのが理想です。体幹の安定や姿勢のコントロールが身につけば、HIITでも無理なく全身を動かせるようになります。
いきなり高強度のHIITを行うと、フォームが崩れて関節に負担がかかる可能性があるため、最初は低強度で短時間から始めましょう。動作の正確さを優先し、慣れてきたら徐々に強度を上げていくことがポイントです。
また、トレーニング後にはしっかり休息を取ることも大切です。疲労がたまったまま続けるとパフォーマンスが落ちやすくなるため、1日おきや週3回程度を目安に行うと良いでしょう。体の反応を見ながら少しずつ負荷を高めていくことが、継続と成果の両立につながります。
ファンクショナルトレーニング×HIITの実践ポイント

2つのトレーニングを組み合わせる際は、「目的」「順番」「時間配分」を意識することが重要です。まずはファンクショナルトレーニングで体の動きを整え、その後にHIITで負荷をかけることで、より高い効果を得られます。
焦らず、自分のペースで進めることが長く続けるためのポイントです。
- ファンクショナルトレーニングで動作の基礎を整える
- HIITで代謝と心肺機能を高める
- 週2〜3回を目安に、無理のない範囲で継続する
バランスよく組み合わせることで、動ける体と燃える代謝を両立できます。日常生活の中でも体が軽く感じられるようになり、疲れにくい体質づくりにもつながります。
体幹を中心としたおすすめ種目
ファンクショナルトレーニングとHIITの効果を最大限に引き出すには、体幹を意識した種目を取り入れることが欠かせません。体幹を安定させることで、全身の連動性が高まり、動作のパワー伝達がスムーズになります。特におすすめの種目は、プランク、バードドッグ、ヒップリフト、デッドバグなどです。
プランクは腹部と背面の筋肉を同時に刺激し、姿勢の安定をサポートします。バードドッグは左右のバランス感覚を養い、体幹のコントロール力を高めるのに効果的です。ヒップリフトは骨盤の動きを整え、下半身と体幹のつながりを強化します。
これらの体幹トレーニングをウォームアップとして取り入れることで、HIIT中のフォームが崩れにくくなり、動作の質が安定します。フォームの正確さを重視しながら取り組むことで、ケガを防ぎながらより効率的に体を鍛えられます。
器具の有無で変わる実践例
ファンクショナルトレーニングは器具を使わずとも行えますが、道具を活用することで刺激の方向を変えられ、効果を高めることができます。自重トレーニングではスクワットやランジ、プランクなどを中心に行うとよいでしょう。
一方で、ダンベルやケトルベル、バランスボール、トレーニングチューブなどを取り入れると、筋肉にかかる負荷や安定性の難易度を調整できます。例えば、バランスボールを使うと体幹をより強く意識でき、チューブトレーニングは関節への負担を抑えながら可動域を広げるのに効果的です。
HIITでは、ステップ台やダンベルを組み合わせることで強度を上げられます。器具を使う場合も、フォームの安定を最優先にし、正確な動作を保つことが成果を出すためのポイントです。
無理なく継続するためのコツ
トレーニングを継続するうえで最も大切なのは、無理をしすぎないことです。体調や疲労の度合いによって、同じ負荷でも体への影響は変わります。調子が良い日は少し強度を上げ、疲れている日はフォームを意識した軽めの動きに切り替えると、長く続けやすくなります。
また、1回の時間を10〜15分程度に区切ると集中しやすく、継続のハードルも下がります。習慣化のためには、トレーニングを「義務」ではなく「リズム」として取り入れる意識が重要です。
さらに、目標を細かく設定するとモチベーションが維持しやすくなります。「1週間続ける」「3回フォームを崩さずに行う」など、小さな達成を積み重ねることで自然と自信がつき、結果的に理想の体づくりへとつながります。焦らず自分のペースを大切にすることが、継続の最大のコツです。
まとめ|目的に合わせてトレーニングを選ぼう
ファンクショナルトレーニングとHIITは、どちらも効率よく体を鍛える優れた方法ですが、目的と効果には明確な違いがあります。ファンクショナルトレーニングは体の動きを整えて、姿勢や関節の安定を高めることを重視します。一方でHIITは、短時間で心拍数を上げ、代謝を活性化させることで脂肪燃焼や持久力アップを目指すトレーニングです。
両者を組み合わせることで、体の機能性と代謝効率を同時に高められます。ファンクショナルトレーニングで正しい体の使い方を身につけ、HIITでエネルギーを使い切るように動くことで、より実践的で健康的な体づくりにつながります。目的を明確にし、それぞれの特徴を理解して取り入れることが、成果を出すためのポイントです。
トレーニングは続けることで初めて効果が現れます。1日数分でも、コツコツと継続することで確かな変化を感じられるでしょう。体を鍛えることは、見た目を変えるだけでなく、日常の快適さや自信にもつながります。無理をせず、自分のペースで続けながら、心も体も軽くなるトレーニングライフを楽しんでいきましょう。